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「SUNTORY マーメイド2号」について
■波浪推進船 ■設計 ■船体はアルミリサイクル材(5083)を使用 ■電力は太陽エネルギーから

■波浪推進船 

 「SUNTORY マーメイド2号」の設計コンセプトは環境保全の延長線にあります。波浪推進船そのものが世界で初めての船になるため安全性の高さを課題としました。全長約9.5メートル(31フィート)の双胴船体は環境への配慮と3ヶ月近い航海に耐えられるようリサイクルアルミの中でも最高の強度を持つアルミニウム合金5083を使用します(住友軽金属工業提供)。設計は「MALT'S マーメイド3号」「SUNTORY マーメイド号」の設計に引続き横山一郎氏が担当します。

 動力源は波のみですが、港の出入りのためと万が一のために船外機とセール帆走が出来るようセールを装備しています。この船外機は電源確保にも役立ちますが、あくまでも緊急用で、原則としてセール同様航海中は使用しないことになっています。
電源は太陽電池を採用し、通信手段としてはアマチュア無線と衛星電話を装備します。

 波で船が進む? 船を推進させる自然エネルギーとしてマンパワー、風、最近ではソーラーパワーも当たり前になって来ましたが、波だけはなかなか考えが及ばないのが事実ではないでしょうか。

 元来、船にとって波はやっかいなものでスピードが落ちたり、転覆の原因にもなります。しかし無限にある波のエネルギーを推進力にかえて船を進めることが出来れば夢のような話です。波浪推進船とは、波のエネルギーを船の推進力に変換して進む船のことです。

 1981年、浮き消波堤の水槽実験を行っていた時、波に押し流されるはずと思っていた浮き消波堤が逆に波に向かって進んでくることに注目し、波エネルギーが船の動力として使えるのではと思いつき波浪推進船の発想に至りました。

 水槽実験で模型船が波によって上下運動をする時、模型船の前に取り付けられている水中翼に揚力が働き、推進力が発生するため常に船を前に進めることが確認できています。波さえあれば船は波に向かって常に前進します。推進原理は、船体の前方に取り付けられた水中翼が、波の中で上下し、あたかもイルカや鯨のドルフィンキックのように動作することによって波のエネルギーを吸収し船の推進力を発生します。一方、波の中で船の運動が大きくなると、船の前進時の抵抗が大きくなります。これを波浪中の抵抗増加と呼びますが、波浪推進装置は波浪中の抵抗増加を抑えることができます。波浪推進船では、推進力がこの前進抵抗より大きく、波に押し流されることなく船は波に向かって進むことができるのです。また、船の前方の水中翼は、上下に動くときに大きな抵抗となるため、船首揺れ(ピッチング)運動が小さくなり、大幅に揺れを軽減することから船は安定します。1988年12月、日立造船(株)と共同で、駿河湾において本学の実習船「第2北斗丸」に幅3.8m、翼弦1mの翼を取り付けて海洋実験を行いました。波の高さは1m前後でしたが2ノットの速度で進むことを実証しています。

 今回の航海では、さまざまな方向から船体に当たる海洋波に対しても効果的に推進力を発生できるように船形および波浪推進装置を工夫しています。前方から押し寄せる波以外に横波、うしろからの波、波さえあれば船は前進できます。

 化石燃料の枯渇が時間の問題とされる現代において、省エネルギーのひとつの方向として可能性があると思って研究を続けてきておりました。その折、堀江氏の提案は未来に大きな夢を託す機会と考え、氏の協力要請に研究者として最大限の協力を約束しました。堀江さんという素晴らしい航海士にめぐり合え、世界で初めての航海を成功して頂きたく願っています。

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■設計

 前回の世界一周航海艇<SUNTORY Memaid>が進水(2003年11月)して一段落した頃、堀江謙一氏より、メールで文献の一部分が送られてきた。
“波のエネルギーで進む”というタイトルで、1895年<オートノート>という全長3.9mの小舟が水中翼を備え、波に逆らって時速3〜4マイルの速度で走ったと書いてある。
このような原理で進む船を作ることは可能か…ということであった。
1988年の暮れ、旧知の東海大学の寺尾 裕教授が「波のエネルギーで向かい波でも船が前に進む」という研究結果にもとづき実船を改造して海上実験を行ったことを記憶していた。そのため、堀江氏の計画は、私にとって特に驚くものではなかった。
堀江氏の計画を進めるために波浪推進船の研究者である寺尾教授に堀江氏とともに協力をお願いしたところ、教授から今までの研究実績に加えて、更に新しいアイデアが提案された。
私の役割は寺尾教授の研究の成果をもとに、堀江氏が安心して航海できる船を設計することになった。

・波浪推進に適した船型としてはカタマラン(双胴船)が教授から提案された。
・カタマランは初期復原力は大きいが、90°横倒し状態を境に復原しにくい。
・復原力消失範囲をいかにして狭くするかが大きな課題となった。
・重心を下げることで復原力が得られる形状がないかと模索した。
・更に復原力を得られるようマストトップに浮力体を取り付けることにした。

設計の初期段階として、艇の復原力が大きな課題となった。

→横山一郎氏について

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■船体はアルミリサイクル(5083)を使用

 最近では、ヨットは速さと操縦性から軽量化が図られる傾向にあり、殆どの船体の素材にはFRPが使用されていますが、「SUNTORY マーメイド2号」の船体は、前回の航海と同様にリサイクル材が使用されています。船体は航海の性格上、信頼度の高い耐食アルミ合金5083が使用されており、今回も住友軽金属工業(株)の協力によるものです。この5083合金はアルミリサイクル材をベースにマグネシウムを4〜5%加えた合金で、耐食性、溶接性に優れ実用非熱処理合金の中で最も強度が高く、現在、船舶、車両、圧力容器などに使用されています。

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■電力は太陽エネルギーから

 「SUNTORY マーメイド2号」の電力供給源は、無限のクリーンエネルギー、「太陽電池」を使用。
太陽があればどこでも発電することができます。海の汚染に無縁のソーラーセル(太陽電池発電機)は地球の環境保全と資源の有効利用の関心の高まりからクリーンな21世紀のエネルギーシステムとして期待されています。小規模住宅から産業、通信(宇宙衛星)などの大規模電源システム、さらに公共施設、交通手段の電力まで、さまざまな分野で実用化されています。

 「SUNTORY マーメイド2号」に必要な電源は、185Wと想定しており、航行に不可欠な航海灯(マスト最上部に設置)、アマチュア無線、イリジューム衛星電話、パソコンの電力として利用します。

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