サントリーマーメイドⅢ号

船体詳細概要

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サントリーマーメイドⅢ号メイキング映像

設計について

横山一郎（ヨットデザイナー）

1945 年生まれ
父はヨットデザイナーの故・横山晃。子供の頃からヨットに親しみ造船所でヨットが作られるのを見ながら育った。東京大学船舶工学科を卒業後、ヤマハ発動機（株）でヨットの開発設計を担当し、数多くのクルージングヨットやカスタムレーサーの開発を行い、フランスのグループ・フィノ（GROUPE FINOT）設計事務所でもヨット開発に関する経験を積む。
1982 年に独立。1989 年ニッポンチャレンジ始動時から参画し、アメリズカップ挑戦艇開発に関わり、1991～1995 年にはチーフデザイナーを務める。1990 年ケンウッドカップ（ハワイ）総合優勝艇「MATENROW」のデザインを手がける。堀江謙一氏の長距離挑戦航海用のヨットには2002 年太平洋横断の19 フィート艇から関り、2004～2005 年世界一周の43 フィート艇など、今回で４回目の「マーメイド号」設計になる。

横山一郎からのコメント

初代「マーメイド号」は私の父親が設計した19 フィートの合板製のヨットでした。そして今回の使用艇である「サントリーマーメイドⅢ号」も船体長さは「初代」と同じ5.83ｍで設計が進められ、船体は耐食アルミ板の溶接構造で作られました。
最終的に全長はセールを張るための部材が前方に伸びて6.05ｍとなり、最大幅が少し広めで船体重量は少し重い設計となりました。キールは少し深めで、下端にバルブを備えた低重心型になり、船型の工夫もあり、復原力は「初代」と比べて20％以上増えました。
このヨットは、浮力体を充填した区画を設けていますが、船体材料が金属で浮力が乏しく、浮力体だけで浮かせる区画容積の確保は叶いませんでしたが、積み荷などの浮力を合わせることで浮かせることができると考えています。
近年、長距離航海を快適に過ごすために“日陰”や“風防”の役割をする「ドジャー」と呼ばれるモノを装備することも多いですが、一方で大きな面積のソーラーパネルを設置する必要もありました。その両方を解決するために軽量構造の「ハードドジャー」を設置することで、重心が上がらないように工夫をしました。また、キャビン内に出入りする際の窮屈さが懸念されるので、寸法決定のためにモックアップを作るなど慎重に検討を行いました。なお、船内の電源はソーラーパネルによる発電でまかなわれ、発電や推進のための補助エンジンは設置していません。
この作品は、堀江謙一さんとの共同作業による4 作目になりますが、対話を重ねながら時間をかけて作り上げたものです。サンフランシスコからの航海を思いっきり楽しんでいただくことを願っています。

電力は太陽エネルギーから

「サントリーマーメイドⅢ号」の電力供給源は、「太陽電池」を使用。太陽があればどこでも発電することが可能です。発電した電気は、航行に不可欠な、航海灯ランプ（マスト最上部に設置）、アマチュア無線、パソコン、そして電灯などの生活電源として利用します。

「サントリーマーメイドⅢ号」の建造について

「サントリーマーメイドⅢ号」は広島県尾道市のツネイシクラフト＆ファシリティーズ株式会社で建造され、2021 年11 月27 日（土）に進水する予定です。
ツネイシクラフト＆ファシリティーズ株式会社は、55 年の歴史を持ち、日本代表するアルミ船建造技術を持っております。その造船技術の信頼性の高さは定評があり、高品質な船を提供しています。「サントリーマーメイドⅢ号」は進水後、新西宮ヨットハーバーにおいてセーリングテストを行い、万全の準備を整えた後、神戸港よりサンフランシスコのサウサリートに輸送され、ザ・サンフランシスコクラブから3 月中旬に出航予定です。ゴール後は母港である新西宮ヨットハーバーに曳航（えいこう）され終航式を行います。
新西宮ヨットハーバーは日本を代表するヨットハーバーで、堀江も所属する一般社団法人関西ヨットクラブも施設内にあり、西宮市民の憩いの場として甲子園とともに市民に愛されている施設です。
また、2 度目の無寄港世界一周に成功した「サントリーマーメイド号」は、西宮市に寄贈され、2008 年7 月17 日から新西宮ヨットハーバー玄関前の広場に永久展示されており、訪れる西宮市民のロマン、夢、勇気、冒険心を駆り立てています。

船体建造

ツネイシクラフト＆ファシリティーズ株式会社
〒720-0551 広島県尾道市浦崎町1471-8
代表取締役 神原 潤

ヨットクラブ・ヨットハーバー

・一般社団法人関西ヨットクラブ
〒662-0934 兵庫県西宮市西宮浜４丁目１６−１
・新西宮ヨットハーバー株式会社
〒662-0934 兵庫県西宮市西宮浜４丁目１６−１